上司との目標面談で将来のキャリアについて聞かれたけれど、目の前の仕事で精一杯・・
5年後、10年後のキャリアについて教えてください。と面接で聞かれる質問の準備を開始したけれど、全く思い浮かばない・・・
このようにキャリアプランについての回答に悩む方々に向けて書いています。
メーカー営業マンから総合商社に転職、そして現在は外資系でマネージャーとしてマーケティングの仕事をしています。ちなみに米国公認会計士USCPA。
USCPAに興味がある方は以下をどうぞ
【現職USCPAが解説】米国公認会計士(USCPA)ライセンス取得 難易度・試験概要・受験資格
いきなり結論です
8割以上のビジネス成功者は、10年先のキャリアプランを描いていません。 今この瞬間に本当にやるべきことをつなぎ合わせてキャリアを構築することがベストです。
この記事の内容
成功者の80%は計画通りのキャリアよりも偶然が重なった結果
実際に成功した人たちは、10年先のキャリアを考えて仕事をしてきたのか?
スタンフォード大学 教育学・心理学のジョン・クランボルツ教授が本格的な研究を実施してこの問いに答えています。
この研究で、成功した人の80%に調査を実施したところ、成功は10年先のキャリアを目指した結果ではなく、偶然が重なった結果だったということがわかったのです。
18歳のときに目指していた仕事をしていた人は、ほんのひと握り。2%に過ぎませんでした。
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クランボルツ教授の理論について紹介した数少ない和書の一つです。
図やチャートを用いてわかりやすく説明せしているおすすめの本です。
昨今、コロナ禍で業界再編や技術進歩が加速したり、未来を予想することはますます難しくなっています。
企業や業界の将来について一個人がコントロールできるはずもなく、キャリアに関しても外的要因に大きく左右されることが度々です。
そのような状況下で、“何をしたいかという目的意識に固執すると、想定外の偶然のチャンスを伸ばしかねない。”と教授は指摘しています。
キャリアプランの立て方は、将来のあるべき姿を見据えて、それを目標にキャリアを積み上げていく考え方が主流です。
私がこれまで勤めていた会社の目標面談も、例外なくそのように組み立てられています。
しかし、外的要因が変化していきますので、長期的な目標をたてて掘り下げるキャリアプランは、必ずしも有効ではないばかりかリスクにもなり得るのです。
クランボルツ教授のこの理論は、計画的偶発性理論 Planned Happentance(プランド・ハップンタンス)と呼ばれています。
目まぐるしく変化する時代で成功してきた人たちは、予測不可能な10年後にゴールを目指した計画に沿って活動したというより、予想もしなかった出来事・技術革新に直面して、柔軟にキャリアを転換しています。
重要なことは、偶然の出来事を有益なチャンスと捉えることできるか?
そのチャンスをキャリア形成に役立てるために全力を尽くすことができるか?
ということでしょう。
この調査結果のポイントは以下3点です。
ポイント
何か起きるのを待つのではなく、積極的に行動することでチャンスが増える。
つまり、偶然を待つだけではなく行動に移す人間が成功するということです。
具体的には、以下5つの行動特性を持つ必要があると説かれています。
- 好奇心(Curiosity)
- 持続性(Persistence)
- 楽観性(Optimism)
- 柔軟性(Flexibility)
- 冒険心(Risk Taking)
外資系マネージャー20名にキャリアについて聞いてみた
身近な例を見てみましょう。
最近、私の勤務先でマネージャー向けの研修があり、司会者から参加者20名ほどに自身のキャリア計画について質問をしたことがありました。
何人が具体的にキャリアプランについて答えることができたと思いますか?
答えは、0人です。
外資系でそれなりのポジションについている人たちですら、5年10年先のキャリアプランを具体的に語ることはできないことは少々驚きでした。
それでは、どのようにキャリア構築を考えているのか?
多かった答えは、「目の前の業務に全力を尽くす。」です。
当然、経営陣からの当年の売上・利益予算の達成要求が非常に厳しく、目の前のゴールをクリアしていくことで精一杯という現実はあります。
一方、毎年の厳しいチャレンジに向かって全力を尽くし、ゴールを達成してきたからこそ、マネージャーというポジションに上り詰めることができたとも言えるでしょう。
ちなみに面接での最低限の心構えをまとめています。よろしければどうぞ⏬
面接官は5年後10年後のキャリアを本当に求めているか?
採用面接や目標面談で頻繁に聞かれる質問が
「5年後、10年後の自分についてどう考えていますか?」です。
しかし、これまで見てきたように、ある程度成功してきたマネージャーや米国の成功者ですら、5年後10年後のゴール通りにキャリアを作り上げてきたわけではありません。
そして面接や目標面談の相手となるのが、彼らマネージャー達です。
本音では、遠い先の将来など当てにはならないということを理解しています。
それでは、なぜこのような質問を投げかけるのでしょうか?
答えは、どれだけ本気でこの会社で働くことを考えているか?
本気度を試しているのです。
ですから、100%確実な未来を話す必要は全くありません。
あまり雄弁に将来像を語りすぎると、現実の業務とのギャップが浮かび、長期的にその会社で働かないのではないかと疑われることでしょう。
要は、会社と業界のことを理解し、筋道が通った説得力のある説明ができれば良いのです。
あなたが面談で答えた将来のキャリア像どおりに会社がレールを引いてくれることは皆無なのですから。
キャリアはConnecting Dots思考で積み上げよう
それでは、具体的にはどのようにキャリアを組み立ていけば良いのでしょう?
実は、偶然をチャンスと捉えて最も成功したビジネスマンから学ぶことができます。
アップルの創業者スティーブ・ジョブズ氏です。
例えば、今でこそ当たり前になっているパソコンの“文字フォント”、この起源はスティーブ・ジョブズがたまたま大学で学んでいた“カリグラフィー”にあると、彼は語っています。
マッキントッシュをデザインしているときに、カリグラフィーを応用するアイデアが浮かんだそうです。
これが全てのパソコンで使われるようになったフォントの起源だと思うと、すごい偶然だとは思いませんか?
決して、将来パソコンに活かそうと考えて多くのユニークな文字デザインを学んだわけではないと容易に想像つきますよね。
驚くべきことに、この過去の経験を活かしたことで生まれたイノベーションは、これからの将来も生き続けていくのです。
彼は多くの名言を残していますが、その中でもスタンフォード大学でのスピーチにおいて、どのような考えでイノベーションを起こしつつキャリアを築いてきたのか、語っています。
その中核となる考えが“Connecting Dots”です。以下に、その一部を抜粋しますね。
スピーチ の英語原文はこちら
https://news.stanford.edu/news/2005/june15/jobs-061505.html
Again, you can't connect the dots looking forward; you can only connect them looking backwards. So you have to trust that the dots will somehow connect in your future. You have to trust in something ― your gut, destiny, life, karma, whatever. This approach has never let me down, and it has made all the difference in my life.
和訳は日経新聞が掲載してくれています。
https://www.nikkei.com/article/DGXZZO35455660Y1A001C1000000/
繰り返しですが、将来をあらかじめ見据えて、点と点をつなぎあわせることなどできません。できるのは、後からつなぎ合わせることだけです。だから、我々はいまやっていることがいずれ人生のどこかでつながって実を結ぶろうと信じるしかない。運命、カルマ…、何にせよ我々は何かを信じないとやっていけないのです。私はこのやり方で後悔したことはありません。むしろ、今になって大きな差をもたらしてくれたと思います。
まとめ
私自身、USCPAであると同時に、外資系企業でマネージャーとしてマーケティングの仕事に携わっています。
10年前には思いもかけないキャリアでした。
当時、一般企業上場一部企業の営業マンでありながら、USCPAを目指したきっかけ、担当事業の原価計算や予算策定です。
どちらかというと外資系だけには勤務したくはないと考えていましたね
それが、会計力&営業力が評価されて商社に転職し、今ではマネジメントの経験をプラスして、外資系でマネジャーをしています。
振り返って考えると、いつの段階でも10年後はこうなっていたいなという目標はぼんやりとは持っていました。
20代の頃は、どちらかというとマネージャーというよりも専門職嗜好が強かった気がします。
それが、目の前の課題解決に夢中で取り組むうちに会計を身につけ、営業経験を積み上げ、そして今では外資系企業でマネージャーをしています。
商社に転職した頃は、事業開発が求められていた時代でもありました。そのチャンスを生かしたとも言えるかもしれません、
自分でいうことも恥ずかしい限りですが、その時々の偶然のチャンスを生かすことができたのも、目の前の仕事にしっかりと向き合ってきたからこそと思っています。
なんだか、自画自賛にようになってしまいました・・・。今回の記事が少しでも皆さんのお役に立てていればうれしいです。