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商社でのキャリアップは無理ゲー?【注目記事から考える】"2020年版40歳年収が高い企業トップ1000社ランキング" ダイヤモンドオンライン2020.5.11

なぜ商社の年収は高いの?

商社は何をやっているのかわからない。スキルアップ、キャリアップが難しくなりそう。

こんな疑問・質問にお答えします。

管理人プロフィール

元商社で事業開発関連の仕事をしていましたので、商社マンの年収・キャリアについてはぶっちゃけた話ができると思います。

注目記事”40歳年収が高い企業トップ1000社ランキング ダイヤモンドオンライン2020.5.11"に商社の年収について一緒にレビューしています。

この記事の内容

  • 【2020年版】40歳年収が高い企業トップ10
  • なぜ商社の年収は高いのか。
  • 商社でキャリアアップできないは本当か?

結論

商社への転職は年収&キャリアの大幅アップの入り口。年齢にかかわらず可能性に満ちています。

【注意!!】向いていないキャリア戦略もあります。

40歳年収が高い企業トップ10

2020年5月11日付ダイヤモンドオンラインの記事から表を抜粋・加工して作成しました。

トップ10に総合商社5社ランクインしていますね。年収トップはキーエンス。日本企業の年収ランキングNo.1の常連になっています。モノづくり企業では三菱ケミカルHDが3位が入っていますね。そのほかはM&Aコンサルティングが2社、不動産会社が1社となっています。

共通していることは、いずれもBtoBが中心のビジネスモデルということです。キーエンスは他メーカーにセンサー等を製造・販売していますし、三菱ケミカルHDは電子部品の材料や素材を製品メーカーに販売している企業です。

総合商社やM&Aは代表的なBtoB、2位のヒューリックもオフィス用不動産がメインです。つまり、高収入企業は、BtoCではなくBtoBである必要があるということです。

効率的に稼ぐためには、個人客よりも法人客をターゲットにする方が効率的であることは、もはや常識です。

法人がターゲット

法人は、継続的かつ協力的な顧客になってくれます。私もそうですが、人間は非常に移り気です。スーパーの食品や日用品の商品を観察してみてください。数ヶ月もしないうちに新しい商品に入れ替わっています。常に変化する消費者を満足させ続ける必要があるためです。

そのため、個人をターゲットにしている企業は、膨大な経費を注ぎ込みます。消費者向けの広告費、スーパー向けの販促費、流通業者に足を運ぶための交通費などなど。その企業に働いている人々のために残される給与・ボーナスはわずかになってしまいます・・・

逆にBtoBであるキーエンス のビジネスを想像してみましょう。超高性能センサーを自動車会社が採用したとします。今やセンサーは全ての車種に搭載されている上、効率化のため調達先を絞る必要があるはずです。抜本的なモデルチェンジは数年に一度、センサーなどはもっと商品寿命が短いはずです。

従い、広告費や販促費、交通費などの経費を膨らませる必要はありません。より製品の性能を向上させる研究・品質管理、顧客への積極的提案やすり合わせなどの付加価値を伴った営業活動に時間を使うことになります。結果、人的資源が重要視され、給与・ボーナスが増えるのです。

一人当たり営業利益&純利益が大きい総合商社

以下は、一人当たり営業利益と純利益を抜粋です。いずれも営業利益より純利益の方が大きいこと、一人当たりの利益が他5社と比べて圧倒的に大きいことがわかると思います。一人当たりで稼ぐ利益が大きいから、年収が大きくなるのはわかりやすい理由ですね。

一人当たり営業利益・純利益

  • 三菱商事:1億5,300万円、2億7,200万円
  • 伊藤忠商事:1億8,900万円、2億9,400万円
  • 三井物産:9,100万円、1億6,400万円
  • 丸紅:▲5,500万円、▲8,300万円
  • 住友商事:6,300万円、1億500万円

ところで、なぜ営業利益より純利益の方が大きくなるのでしょう?

営業利益は、一般的に本業での儲けです。”売上-売上原価-販売及び一般管理費”で計算されますね。

純利益は、営業利益から通常発生する銀行利息などの経費を差し引いて経常損益を計算し、さらに法人税などの社会的コストを引いた算出する企業活動の成果です。

詳しくは別の機会に解説しようと思いますが、経常利益から純利益を算出するときに計算する特別損益や持分変動差額が商社の純利益が営業利益より大きい理由となります。

特別損益は、突発的に発生した損益です。商社で発生しやすい特別損益は、事業そのものを他社に売却したときや、急にビジネス環境が変化して資産を減額させる必要が出た時(減損と呼ばれています)です。

持分変動差額は、非連結子会社や関連会社など投資先からの損益を表しています。この損益の計算方法を採用する細かい決め事があるのですが、今は、子会社以外の投資先の儲けに株式持分割合をかけた金額と覚えておいて大丈夫です。

つまり、商社が実物の商品売買で儲けていた時代は昔のこと。今は、事業そのもの、会社そのものから儲ける仕組みを作っていることが、営業利益より純利益を大きくさせているわけです。まさに究極のBtoBですね。

なぜ商社マンの年収は高いのか。

Supplier(原料供給)からDistribution(流通)まで商社が仕組みづくり

なぜ商社一人当たりの利益が大きくなるのか、解説していきたいと思います。

究極のBtoBと言える業種が総合商社です。

商社はカップラーメンからロケットまでと誰かが言っていましたが、今の商社はビジネスモデルや事業そのもの、あるいは企業そのものが商売のタネです。従い、1案件当たりに動く金額が巨額です。数億、ときには数千億円のお金が動きます。

先ほどの純利益を大きくしている持分変動差額は、他の企業や事業そのものに資金を提供し、儲けた分を利益として吸い上げた結果になります。

これだけですと、銀行や村上ファンドのような投資会社に見えるかもしれませんが、商社は投資先企業に自社の社員を送り込んだり、複数の投資先企業を一緒に仕事をさせてさらに儲けを膨らませる仕組みを作ります。

原料調達から小売業まで、バリューチェーン全体で儲けます。

例えば、コンビニコーヒー。コンビニ各社がしのぎを削って格安で提供していますね。原料のコーヒー豆は全て発展途上国からの輸入ですので商社が輸入しています。

ファミリーマートのコーヒー豆は伊藤忠商事、セブンイレブンは三井物産、ローソンは三菱商事が輸入したコーヒー豆、いずれのコンビニも出資先商社から原料を調達しているわけです。

このように、産業全体をみて、投資すると儲かりそうな企業の選定、商社としての役割などを考え、儲かる仕組みを考えているのが商社です。いったん、儲かる仕組みを作り上げると、簡単に崩されることがありません。

広告費や販売促進費、設備投資は投資先の負担です。結果として、安定的に利益を増やすことが可能となり、給与・ボーナスに使う現金も残りやすくなるのです。

時代の変化で儲ける仕組みも変える。

2000年代までは商社の収益源といえば、資源ビジネスのトレーディングでした。それが今では、非資源もしくは生活産業ビジネスからの事業収益が収益の柱となっています。

このように時代とともに事業全体を売買し、常に儲かる産業・ビジネスに人的資源と投資先を変化させていることで儲けつづけることができています。

さて、コロナ後の戦略はどのようになっているでしょうか?各商社の中長期戦略からみてましょう。

三菱商事

生活、モビリティ・インフラ、エネルギー・電力に加えて、サービス(IT、物流、金融、等)を事業ポートフォリオ に加えました。新たに”デジタル戦略部”を設立しています。

伊藤忠商事

具体的には、総合商社の特性を最大限に活かし、多岐にわたる商品・サービスの提供および新規ビジネスの創出に加え、機動的な資産入れ替え等により、環境ビジネスを拡大・積極推進。

三井物産

デジタル化や 脱炭素のトレンドは加速すると考えており、これらの環境変化を機会に成長を追求していきます。
具体的には、エネルギーソリューションヘルスケア・ニュートリション、マーケット・アジアになります。

キーワードは、IT, 環境ビジネス, ヘルスケアになりそうです。

商社でキャリアアップできないは本当か?

商社での年収・キャリアアップは?やはり厳しい?

論より証拠、商社出身の著名人をみてみましょう。

商社に向かないキャリアプラン

結論からいえば、手に職をつけるキャリア、技術職や研究職タイプ、一人で完結できるような仕事を極めるタイプのキャリアは商社に向いていません。例えば、エンジニアやプログラマー、デザイナーなどです。

商社の中にはITやAI業界に投資をしている企業もあります。しかしながら、これらの業界で働いている人たちが商社での仕事に向いているわけではないです。

莫大なお金を動かすためには、社内外で多くの人を巻き込んでいく必要があります。一人で仕事を完結させたい人は商社での仕事は難しいでしょう。

商社に向くのはこんなキャリア

世の中を変えるような仕事をしたい人、とにかく大きな仕事をしたい人、多くの人と仕事をしたい人、数字が得意な人、将来は会社経営やマネジメントに近い人にとっては素晴らしいキャリアとなるチャンスを掴むことができます。

エンジニアやプログラマーでも、独立志向が強い人、経営者になりたい人たちは、一度商社に入ることもおすすめです。

なぜなら、会社の立ち上げや経営に絶対不可欠な能力が、他人を巻き込む能力だからです。

資金を集めたいとき、他産業にサービスを売り込みたいとき、自分のやりたいビジネスの計画を説明する必要が出てきます。

商社は、驚くほどITの素人集団です。商社に入って、IT素人への売り込みの練習をしてみても良いでしょう。

また、これから商社が注力していこうとしている環境エネルギー、ヘルスケア、IT&AIなどで活躍している人たちにもおすすめです。より大きなビジネスを作り上げたい、他の産業とのシナジーを目指したいという方は商社でのキャリアを検討してみてはいかがでしょう?

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