CPA試験を始めてみたけれど、思った以上に覚えることが多く先が見えない。 実際に合格した人はどのように勉強したのかな? そういえば、本場米国ではどのようにして合格しているのだろう?
米国のCPA通信教育大手Surgentや米国人ブロガーは、受験科目の勉強方法のコツを公開し、日本の資格予備校以上に頻繁に更新しています。
この記事では、ぼくが実際に受験したときの経験を参考にしながら、海外で公開されている最新の勉強方法やAICPA公開情報について解説しています。
今回は、FARに続いてREGの特集です。
それでは行ってみましょう。
受験する順番
多くの予備校やブロガーはFARを最初に受験することを勧めていますね。
しかし、2021年7月の試験範囲変更までに受験できるのであれば、AUDを最初に受験することがおすすめです。
理由は、2021年7月から最も多く出題範囲が変更される追加される科目がAUDだからです。(その次はBECです。)
出題範囲が増える前に、サクッと合格しておきましょう。
二番目がBEC, 三番目がFAR, 四番目がREGとすると効率的です。
それでは、なぜREGが四番目なのでしょう?
ポイントをまとめると以下の通りになります。
ポイント
要するに、他の科目よりも容易で、2021年7月以降は出題範囲も減少、おまけに暗記中心なので短期勝負可能と言うことです。
ただ覚える量は半端なく多いです💦
ちなみに2020年のREG合格率は62.29%で4教科中2番目となっています。(AICPA公式HPより)
AUDの記事でも述べましたが、ぼくが受験した2011年当時は、内部統制報告制度が整備され始めた頃で、頻繁に出題範囲が改定された時期・・
受験科目の中身が改定されるほど、受験生にとって悲惨なことはありません。実際に改定された年の合格率は下がっています。
2011年もそんな年でした(ToT)/~~~
2021年の変更でAUDは改悪されますが、REGは改善されます。
REGは改善後に受験しましょう!
友人や家族にCPA受験をすることを宣言する
これまでの記事で毎回のように書いていますが、無茶苦茶重要なので繰り返します。
あらゆる試験勉強に共通すること。それは勉強する環境作りです。
Surgentでもこの点を紹介していることはさすがと言えるでしょう。
CPA受験勉強は、1年以上に続く長い道のりです。
周囲、特に家族の理解と協力なくしては、受験勉強という自分との戦いに打ち勝つことはできません。
ぼくの場合、ちょうど受験勉強中に娘が生まれましたので、子育てをしながらの受験勉強となりました。
子供が生まれたばかりの家庭、特に母親は休む暇がありません。当然、父親が多くの家事を分担する必要があります。
そこで、奥さんと以下の約束をしました。
家族との約束
特に”5”が重要です。そして、いつも家族への感謝の言葉を忘れないようしましょう。
REG(試験の概要)
REGでも再登場する必須アイテムがAICPA提供のBlueprintです。
出題形式、出題範囲、難易度とその割合など、受験勉強を始める前に把握しておくべき情報が満載です。
最新は、2020年11月発行の2021年7月の改訂内容が記載されています。
それでは、2021年7月以降の試験概要を説明しますね。
概要
REGは連邦税法とビジネス法について出題される科目です。
- 受験時間:4時間
- 出題形式:MCQ(選択問題)76問、TBSs(シミュレーション問題)8問
- 出題形式配点:MCQ 50% : TBSs 50%
出題範囲と採点割合
AICPAホームページによると、BECの出題範囲は次のArea I〜Vのとおりです。
ビジネス実務上に関連する内容を幅広く網羅した内容となっています。
それでは、一つずつ出題範囲の特徴を見ていきましょう。
I Ethics, Professional Responsibilities and Federal Tax Procedures倫理、職業的責任、連邦税制手続き
試験の10-20%は「倫理、職業的責任、連邦税制手続き」から出題されます。
2020年の出題範囲から変更はありません。
Skill levels毎の出題範囲が狭く、暗記や理解度をはかるMCQでの出題がほとんど!
確実に点数につなげましょう。
Area II Business Law ビジネス法
Area IIは「ビジネス法」から出題されます。
配点は少ない割に範囲が広いことが特徴です。
法律用語が多い日本人泣かせの出題範囲ですが、英単語をしっかり暗記して対応しましょう。
MCQ選択問題を反復練習することで対策できます。
Area III : Federal Taxation of Property Transactions
12-22%は「連邦税制 動産取引及び贈与税」からの出題です。
2020年と出題内容自体は変化していません。
注意点は、以下の分野からは”Analysis(分析)“問題が出題されることです。
Basisの考え方、資産の売却や交換時に課税対象になるかどうか、動産取引における損益など
税務上の減価償却費を求める計算問題は必須です!
Area IV : Federal Income taxation of individuals
15 -25%は「連邦税制 個人所得税」からの出題です。
後述するSkill Level Application及びAnalysisが中心です。
したがってMCQ選択問題であっても計算問題が多数出題されます。
個人の課税所得の計算がメインになります。
日本では会社が課税所得を計算し源泉徴収しますが、米国では各個人が課税所得を計算して納税することが当たり前になっています。
給与所得、利子所得、株式の配当、各種控除の分類なども理解しておきましょう。
Area V : Federal Income Taxation of entities
「連邦税制 事業所得税」からの出題です。28-38%と最も高い出題割合となっています。
Simulationを早めに練習しておきましょう。
MCQのみで本番試験に挑むことは自殺行為です。
Skill levels(スキルレベル)毎の出題範囲
UPA試験は米国公認会計士として最低限身につけておくスキルを下記の4スキルに分けています。
- Skill Level : Remembering and Understanding(暗記・理解度)
- Skill Level : Application(応用力:知識をどのように使うか)
- Skill Level : Analysis(分析力)
- Skill Level : Evaluation(評価する力)
それぞれのスキルで出題される分野が決められているので、あらかじめ把握しておくと戦略を立てやすくなります。
Skill Level : Remembering and Understanding (暗記・理解度)
25〜35%出題されます。主にWC選択式問題で試されるレベルです。
Area I 及びArea II中心に出題されます。
確実に得点できるように繰り返し練習して覚えましょう。
Skill Level : Application(応用力)
最も出題割合が高く、35〜45%にもなります。
WC及びSimulation両方から満遍なく出題されます。
Skill Level : Analysis(分析力)
25〜35%の出題割合です。
分析スキルが試されます。ちなみにEvaluation評価スキルはREGでは出題されません。
ラッキーなことに以下のように出題される分野が決まっています。
- Area I Ethics, Professional Responsibilities and Federal Tax Procedures (倫理、職業的責任、連邦税制):
出題されません!
- Area II Business Law (ビジネス法):
出題されません!
- Area III Federal Taxation of Property Transactions(連邦税制 動産取引)
- Taxable and nontaxable dispositions(課税、非課税譲渡)
- Amount and character of gains and losses, and netting process(損益の金額と種類、相殺処理
- Cost recovery(減価償却、減耗償却)
- Area IV Federal Taxation of Individuals(個人所得税)
- Gross Income(収入)
- Adjustments and deductions to arrive at adjusted gross income and taxable income(調整後所得の調整と控除)
- Loss limitations
- Area V Federal Taxation of Entities (法人所得税)
- Determination of Ordinary business income(loss) and separately stated items(小規模法人の所得計算S Corporation)
- Multijurisdictional tax issues(including consideration of local, state and international tax issues)(法人の複数種類に関わる税制:地方税、収税、連邦税制)
- Reconcile an owner’s and ending basis in C corporation stock for federal income tax purposes(法人への投資のBasisの調整)
- Tax treatment of formation and liquidation of business entities(事業設立・解散に関わる税対策)
出題形式毎の対策
出題数と配点は以下の通りです。(AICPA公式HPより)
今のところ、2020年度の内容と変更ありません。
出題数
配点割合
MCQ(選択問題)
配点は50%です。
Wileyの問題集も購入して練習しましたが、出題頻度が低い問題もありおすすめしません。
CPA専門予備校の選択問題を中心に練習しましょう。
Abitusが作成しているMCカードを完璧仕上げておけば十分です。間違いなく合格できます。
とはいえ、 MCQの最初のテストレットで正答率が高いと、二番目のテストレットの難易度が上がるようになっています。
MCカードが8割できるようになった段階でAICPAのサンプル問題などでも練習すると安心です。
模擬試験
試験時間は1科目4時間と長丁場です。
しかも、所々に採点されない問題や難問もあり、精神状態を安定させることも大事になります。
以下に代表的な模擬試験のリンクを貼っておいたので、参考にしてみてください。
特にAICPAは本物そっくりですので必須です。
まとめ
世の中には多くの資格があります。日本公認会計士、簿記、プログラミング関連、などなど
その中でもUSCPA米国公認会計士資格は、特に費用対効果が高いと思います。
勉強期間は1年〜2年、費用が100万円ほど。試験問題の難易度が毎年安定していて、難問・奇問はほとんど出題されない。
一方、資格取得後はキャリアップ、転職の機会が広がり、日本人サラリーマンでは数%しかいない年収1,000万円以上のチャンスが高まります。
つまり、費用対効果が非常に高い資格です。ぼく自身もこの資格取得後に仕事環境が激変しました。
「USCPAは意味ない」は本当?USCPA取得で年収倍増は可能です【実例紹介】
もちろん、人生・仕事の目標・目的は人それぞれです。ただ、せっかく人生の大半を費やす仕事。少しでも楽しむことができるようにしたいとは思いませんか?
USCPA米国公認会計士資格は、そんな思いをかなえる一つのきっかけになると思います。それでは。