リアルな商社マンが一体どんな本を読んでいるのか気になりませんか?
最近の日経ダイヤモンド記事で学生人気就職先に商社がトップに入っていました。
就活生が就職したい業種ランキング
1位商社、2位はIT、3位が製造業
一方、親が子供に就職して欲しい業種ランキングは
1位官公庁、2位は商社、3位がIT
となっています。
両方に商社、ITがランクインし、これらの業界の人気ぶりが伺えます。
特に商社の仕事は時代によって変化しますので、商社への就職・転職を目指している人たちは、いろいろな本や雑誌、ネット情報で研究しているのではないでしょうか?
しかし、世の中で紹介されている本は、商社マンが活躍した実話を基にした小説や大学の研究著書が多く、実際の商社マンが読んでいる本は紹介されていません。
ぶっちゃけ、商社マンは読書家が多いです。商社経営陣が社員に対して自分が読んでためになった本や記事を定期的に社員に進めていることが理由の一つかと思います。
そのようにして社員のリベラルアーツ・人間力を高めたり、多様性に富む社員と価値観を共有したりしているのです。
この記事では、総合商社勤務時代の役員推薦図書から特におすすめを厳選して紹介します。
商社マンが読んでいる本をとおして、商社マンに求められているリベラルアーツや知識を知るための参考にしていただければうれしいです。
この記事の信頼性
USCPA資格保持者です。約7年間、総合商社の事業部でお世話になりました。今では外資系企業でマーケティングの仕事をしています。
商社マン時代には会社推薦図書や経営陣推薦図書、昇進試験対策図書など、数多くの書籍を読む機会があり、リベラルアーツの底上げができたと感じています。
世の中には商社の仕事について面白おかしく書いた本はありますが、実際に商社マンが読んでいる本はなかなか紹介されていません。
これでは商社がどんな人材を求めているのか、推測することは難しいです。(当たり前ですけど・・)
今回は、実際に商社の役員を務めた方から推薦された数多くの図書の中から特に勉強になった本10選をご紹介します。
商社の推薦図書
ワーク・シフト(生き方について考える)
著者はロンドンビジネススクール教授のリンダ・グラットンさん、
- 「世界のトップビジネス思考家15人」
- 「今後10年で未来に最もインパクトを与えるビジネス理論家」
- 「仕事の未来を予測する識者トップ200人」
などなどに名を連ねる権威です。
この本には古代ギリシャ時代から続く自由とは何か?について書かれています。
つまり、
ポイント
- 主体的に働く自由人になるのか?
- 漫然と迎える未来に孤独と貧困を抱える下流人になるのか?
まさにリベラルアーツの根本について考えたい人に読んで欲しいです。
ワーク・シフト ─孤独と貧困から自由になる働き方の未来図<2025>
ライフ・シフト(生き方について考える)
この本は、ぼくが大企業中心に働いてきたキャリアプランから外資系に移るきっかけになりました。
会社推薦図書がきっかけで会社をやめるとは皮肉なものです・・
それが「人生100年時代」です。
これまで、100歳まで生きられる人は人口の1−2%でしたが、2007年生まれの50%は107歳まで生きられるようになります!
当然人生設計も変化します。
ぶっちゃけ、ぼく自身が「教育 →勤労 →引退」 というレールに乗っていれば安心と教えられてきたので、100歳まで生きることのリスクについて向き合っていませんでした。
この本を読むと、どう生きるべきか?どうはたらくべきか?について真剣に考えさせられます。
第6の波(世界観・経済観について考える)
本書では、第5の波がインターネット導入によるビジネスモデルの転換、第6の波は商品ではなくサービスを売るビジネスモデルへと転換した企業が最大の成功を得ることができると説いています。
2011年に出版された本なのですが、実は2020年を予想していたのではと思うところがあります。
ご存知の通り、ウィズ・コロナの時代で成功している企業は、Amazon, Google, Microsoft, Appleなどです。
共通している利益の源泉は?
そう、Office365, Amazon Prime, Googleクラウド,などのサブスクリプションサービスですね。
ここ数年の間、クラウドサービスやサブスクサービスへの転換が徐々に始まっていましたが、コロナ禍を経て一気に進んだ感があります。
こういった世界・経済の変化を予見するのは難しいですが、本書を手にとればある程度の見方を勉強することはできると思います。
ビジョナリーカンパニー1〜4(経営について考える)
1994年に米国で出版され、5年連続全米ベストセラーになった経営について考える名著です。実に100万人以上の米国ビジネスマンがこの本を読んだと言われています。
ちまたでは経営戦略やイノベーションこそが企業価値を高めるとされています。
また、株主利益の最大化こそが企業の使命と言われていますが、果たしてそのような会社がこれからも生き残っていくのでしょうか?
このような問いに対する答えがこの本にあります。
ウォルトディズニー、ジョンソン・アンド・ジョンソン、P&Gなどの企業は、最高の中の最高と呼ばれています。
これらの企業がどのようにしていつの時代も人々から選ばれる存在であり、生き残ることができたのか?
同書が面白い点は、詳細な調査や事例をもとに解説していることです。
総合商社は優れた商品や技術を作り出すことができる企業ではありません。何も持っていないと言っていいでしょう。
そこが強みでもありますが、そんな企業がどのようにして戦い、今後100年以上続く企業になり得るのか?
答えを導き出す良書だと思います。
イノベーションのジレンマ(経営について考える)
ハーバード・ビジネススクールのクリステンセン教授が書いたイノベーションに関するバイブルと言っていい名著です。
イノベーションをたえず探し続ける商社マンにとって必読書です。
この本で言いたいことは、”イノベーションが超優良企業を滅ぼす。”というもの。一体どういうことでしょう?簡単に説明しますね。
優良企業や実績を残した企業が突如として衰退に陥ることがあります。今では超優良企業となったAppleでさえ経営危機を経験してきました。
この理由は、
- 油断や慢心
- 目先の利益と追及したため
と巷では解説されてきましたが、真実ではありません。
- 強い競争意識を持ち
- お得意さんの声に真摯に耳を傾ける
- 持続的に技術イノベーションに投資している(持続的イノベーション)
という超優良企業だからこそ、イノベーションによる潰れることがあると説いています。
それが破壊的イノベーションです。
例えば、2012年に突如として上場廃止となった米国カメラメーカー”コダック”。
カメラ付きスマホの登場が破壊的イノベーションの挑戦を受けますが、決して新しい市場の登場とリスクを無視していたわけではありません。
お得意さんや株主の声に耳を傾けて、持続的イノベーションに投資をしてきた超優良企業だからこそ、破壊的イノベーションに屈してしまいました。
コダックだけではありません。AppleもIBM、GEも超優良企業でありながら経営危機に陥りました。ではどのようにして破壊的イノベーションに立ち向かえば良いのでしょうか?
本書にその答えがあります。興味がある方はどうぞ。
論点思考 内田和成の思考(思考方法について考える)
あなたの会社にも多くの問題がいつまで経っても解決されずに放置されず、うんざりしていることはありませんか?
本書では、全ての問題を解決しようとすることは間違い、”解決するべき問題=論点”を明確にすることが重要だと説いています。
この”論点”という言葉は、会社によっては”課題”や”Issue"という呼ばれていますが、いずれも定義は”解決するべき問題”です。
私の会社でも月初には、年初の予算策定時に設定した課題・論点に対するアクションの進捗状況を振り返ることが恒例となっています。
月例会議で実施するのですが、そもそも設定した課題・論点が正しいのか疑問になることがあるんですよね。
それまでに費やしてきた時間・労力が無駄になったような気にさせられる瞬間です。いかに論点設定が重要かということです。
そんな経験がある方にぜひおすすめの本です。
プロフェッショナルの条件(リーダーシップについて考える)
ドラッガーはマネジメントの神様としてご存知の方が多いはず。
こちらは、会社経営よりも個人に焦点を当てています。
ポイント
- どうすれば一流の仕事ができるのか?
- あなたは、将来どうやって周りの人たちに覚えていてもらいたいか?
- なぜ、こんなに頑張っているのに仕事で成果が出ない?
こんな疑問に答えてくれ本です。
プロフェッショナルの条件――いかに成果をあげ、成長するか (はじめて読むドラッカー (自己実現編))
サーバントリーダーシップ (リーダーシップについて考える)
リーダーシップは管理職だけに求められる仕事ではありません。
誰もがリーダーシップを求められる時代だからこそ、悩みを抱えている人も多いはず。
ポイント
- 自分はカリスマがない、リーダーには向いていない。
- リーダー職として頑張っているのにメンバーがついこない
- 信頼を得られている気がしない・
などなど。
サーバントとリーダーでは逆の立場では?と疑問に思うかもしれません。
ちょっと気になった方も試し読みしてみてはどうでしょうか。
7つの習慣(自己啓発について考える)
全世界3,000万部、日本で200万部売れた大ベストセラー。
すでに多くの方が手にとって読んでいるかと思います。
自己意識を変える哲学書と言っても良いかもしれません。
この本が面白いところは、米国建国以来200年間で出版された自己啓発本を徹底調査したことから始まっている点です。
第二次世界大戦前と大戦後では自己啓発本の主張が変化しているのです。
ポイント
大戦前:長期維持型。人格形成
⬇️
大戦後:短期即効型。コミュニケーションアップやモチベーションアップ
大戦を境に人間は小手先のテクニックに走っているというのです。耳が痛いですね。
本当に成功する人間は、人格形成を心がけてきたことが証明されています。
では実際にどうすればいいのか?本書で具体的なアドバイスがされています。何度も読み返せる絶対おすすめの本。
ビジネスモデル全史(戦略について考える)
商社の花形部署は事業を作り上げる部署です。
新たなビジネス・事業を立ち上げたいという熱い想いを持って商社を応募する皆さんも多いはず。
実際に事業計画書を作る時に必ず悩むことが2つあります。
ポイント
”イノベーションをどう起こすのか?”
”持続的競争優位性は?”
ゼロから考えてもなかなか答えが出てこないものです。
本書では、多くの先駆者たちのビジネスモデルが登場します。例を挙げると;
- グーグル
- トヨタ
- GAP
- VISAカード
- アリババ
その数100社以上。
図柄も豊富で非常にわかりやすいです。商社に入ってから資料作成にも役立つこと間違いなしです。
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