テスラやマイクロストラテジーなどの米国大企業がビットコインを保有しているようだけど、どうして?日本企業は保有しないの? 仮想通貨を購入しないと損するかな?
こんな疑問にお答えします。
こういった内容で紹介していきます。
外資系企業でマーケティングの仕事をしている米国公認会計士USCPAです。2011年に全科目合格してから10年になります。
Forbesなど信頼性の高い海外情報などを元にできるだけわかりやすく解説していきます。
ちなみに2020年8月から暗号資産の運用を開始したところ、約7ヶ月で3倍になりました。
11月時点では30%ほどだったのですが⏬
【実録】3ヶ月で30%の利益を出したトレード記録を公開します
2020年年末から再上昇が始まっていますね。
それでは結論からです。
結論 米国企業がビットコインを保有し始めた理由は、法定通貨の価値が毀損することやビットコインのセキュリティや希少性だけではありません。 米国での会計上・税務上の取り扱いの基準が理由です。
会計上・税務上の基準???
一体どういうことなのか?日本と異なるのか?新たな疑問が出てきそうですね。
背景を含めて会計初心者にもわかりやすく説明しますので、参考にしていただけると嬉しいです。
ところでビットコインを購入するには?
日本でビットコインをはじめとした仮想通貨を購入するには、仮想通貨取引所に口座を開設する必要があります。
私も口座を持っているCoincheckがおすすめです。
ビットコインは通貨か?
色々な見方がありますが、ここでは会計上の分類をお話しします。
法廷通貨(日本円や米国ドルなど通常の通貨)は現金ですので、会計上は”流動資産”に分類されます。当然ですね。
では、仮想通貨は??
日本や米国の会計基準でどのように扱われているでしょう?
日本の会計基準
日本の会計基準では通貨として扱われていません。
その他の資産??
というよくわからない資産に分類され、高い税率を適用されているのです。
ポイント
参考 (企業会計基準委員会) 「資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱い」 (国税庁) 「暗号資産に関する税務上の取扱い及び計算書について(令和2年12月) 「暗号資産に関する税務上の取り扱いについて」 暗号資産を自己の計算において保有する場合には、その評価額と帳簿価額と の差額(本問において「評価損益」といいます。)をその事業年度の益金の額又は損金の額に 算入する必要があります。
米国の会計基準
それでは、米国の会計基準では仮想通貨はどのように扱っているでしょう?
ポイントをまとめてみました。
ポイント
重要ポイント 日本と米国では、会計上の分類から、利益の計算、税率や税金の徴収方法まで完全に異なります。 しかも、日本では売却せずとも益金に参入する必要があり、税金がかかります(法人だけですよ) 納税するために現金を用意する必要があり、かなり面倒、キャッシュフローにも影響します。
これからも仮想通貨は買われるのか?
では、これからも米国をはじめとする海外企業は仮想通貨を購入していくでしょうか?
海外のメディア報道を見てみましょう。
最初に代表的な海外企業ビットコイン保有数をまとめると;
ポイント 名だたる大手上場企業がビットコインを購入していますね。
2020年以降のニュースを見てみましょう。
マイクロストラテジー社がビットコインを押し目買い!10億円相当
2021年3月21日、ナスダック上場ビジネス インテリジェンス アプリケーション企業マイクロインテリジェンスが16億ドル相当のビットコインを更に買い増ししたことを報告。
同社CEO Micheal Saylor氏のTwitterによると、今回の平均取得価格は約620万円(57,146ドル相当)、ビットコイン保有数は、約91,326BTCになると発表しています。
テスラが15億ドルのビットコインを購入
2021年2月8日、テスラはSEC米国証券取引委員会への届出で15億ドルのビットコインを購入したことを明らかにしました。
また、同社商品をビットコインで購入することが可能になると発表しています。
CEOイーロン・マスク氏は、Twitterでビットコインを含む仮想通貨の価格が上昇していくと確信していると述べています。
スクエアが1.7億ドルのビットコインを購入
2021年2月23日、スマホ電子決済サービスを手がけるスクエア社が決算報告書で1.7億ドルのビットコインを購入したことを発表
中国Meituが4億ドルの仮想通貨を購入
20211年3月8日、中国で写真加工アプリ開発を手がけるMeitu社が4億ドルの仮想通貨を購入したことを発表
内訳は、ビットコイン1.79億ドル、イーサリアム2.21億ドルとなっています。
さらに同社取締役会はブロックチェーン技術には既存の金融およびIT産業を破壊する可能性があるという見解を出しています。
また、ビットコインの購入は、資産の分散化であるのに対し、イーサーへの投資はブロックチェーンを多様な海外ビジネスに織り込むという、同社の方針を後押しするものと説明しています。
この解釈は国際会計基準を設定する機関IFRICで結論づけられています。同社はイーサリアムベースのdApps(自立分散型アプリケーション)はその一つと話しています。
カナダ上場企業が投資の多様化のためにビットコインを選択
米国、中国企業によるビットコインの大量購入が報道されているが、それだけではない。
カナダでもビットコインを購入する企業が増えています。
拡張現実(AR)技術による企業向けサービスを開発するカナダ ネクストテックA R(Next Tech AR)が2020年12月29日、200万ドルでビットコインを購入すると発表
2020年12月23日、フィンテック企業 モゴ(Mogo)が150万カナダドルでビットコインを購入すると発表。
米国シティバンクがレポート”Bitcoin: At the Tipping point”を公開
米国シティバンクは、ビットコインは国際貿易通貨になる可能性があるというレポートを公開しました。
2017年以前、ビットコインは、ほぼ個人向けの資産として取引されていたが、機関投資家の関心が急激に高まっていることを報告しています。
動き出した投資銀行
企業や機関投資家の関心が高まってくると動き出すのが投資銀行です。
ゴールドマンサックス、グッゲンハイムパートナーズなど、大手投資銀行が仮想通貨をビジネスチャンスとみているようです。
米国投資銀行ゴールドマンサックスが仮想通貨取引デスクを再稼働、狙いはビットコインブーム
2021年3月1日、ゴールドマンサックスは、仮想通貨取引デスクを再始動することが明らになりました。ビットコイン先物、NDF取引(先渡、先物取引の一つで差金決済するもの)を提供していくとともに、ビットコインETF(上場投資信託)の可能性を探ってくとのことです。
米国大手投資・顧問企業グッゲンハイム・パートナーズがビットコイン投資信託始動へ
米国大手資産運用会社グッゲンハイム・パートナーズ(Guggenheim Partners)が2020年11月に提出したSECへの申請書で、ビットコインへの投資を行う運用開始の可能性を示唆しています。
更に、2020年12月、グッゲンハイム社Scott Minerd氏はブルームバーグに対してビットコイン価格は40万ドル(約4,000万円)の価値があると述べています。
動くのか?日本企業
これほど海外企業がビットコインを購入する動きが拡大しているにもかかわらず、日本の上場企業は全くといって良いほど動いていません。
まさに三重苦が原因
- 日本では仮想通貨は有価証券となっていない
- 値上がり益は高税率の雑所得扱い
- 売却していなくとも、期末で利益として課税される。
一方、海外では直接購入だけではなく、投資信託やETFなど選択肢が増えていくでしょう。
これからの日本の動きを予想
今のままでは、日本企業がビットコインを購入するとは考えにくいです。
しかし、長期的には日本も海外と同様の会計基準、税法が整備されていくと予想しています。
会計原則が国際的に統一される方向性は絶対です。
事実、米国基準と国際会計基準の間では、会計上の差異は無くなっています!
永遠に仮想通貨は日本独自!というわけにはいかないでしょう。
会計上の扱いが海外同様に有価証券となれば、税法上の扱いも見直す方向になるはずです。
また、海外上場企業がビットコイン等の仮想通貨を購入することで日本企業以上に利益をあげていることが明確になれば、日本の機関投資家も動き出すはずです。税法改正への働きかけも強くなるでしょう。
まとめ
2019年末時点、ビットコイン価格は約80万円でした。
現在、2021年3月14日ですが、約660万円の値をつけています。実に8倍の値上がりです。
ちなみに、私は2020年8月にCoincheckで仮想通貨を購入、現在の金額は購入時の3倍以上になっています。
コインチェック
気になることは、
これはバブルではないのか?これからも上昇が続くのか?
といったところでしょう。
2017年のバブルは、ハードフォークの成功(仮想通貨が二つに別れること)や先物取引の開始などが理由です。主に個人投資家が仮想通貨に群がりました。
一方、2020年に始まった上昇は、海外企業、機関投資家が先導しています。そこに、投資銀行も旗振りを始めました。
コロナ金融緩和も後押ししています。
明らかに2017年とは異なる動きです。
この上昇がバブルかどうかはわかりません。
何かのきっかけで急落すれば、バブルだったと言えるでしょうが、誰にもわからないでしょう。
一方、将来的に注意すべきリスクがあります。
日本企業が参入するタイミングです。
ええっ?? 日本企業の参入はさらなる上昇につながるのでは?と考えると思いますが、実際はリスクなのです。
過去には海外主導で急激に上昇していた資源価格が、日本勢が参入した途端に急落したことがありました。
今回もそのようなことにならないことを祈ってはいますが、“欧米が仕掛けては壊す!”これが繰り返されるバブルの正体です。
とはいえ、企業による仮想通貨購入、投資銀行の旗振り、金融緩和ともにしばらくは続く見込みです。2020年いっぱいはこのトレンドに乗るのが最善かなと考えています。